この記事の要点
- 日本語タイトル:足底腱膜炎でHEPに何を追加すると痛みと機能が最も改善するか?
- 英語タイトル:Efficacy of Physical Therapy Interventions Delivered With Home Exercise Programs for Pain and Function in Plantar Fasciitis: A Systematic Review and Network Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.
ここで扱う「足底腱膜炎(Plantar fasciitis:かかとのあたりの足裏の筋膜に炎症が起きて痛くなる病気)」は、整形外科やリハビリテーション科でよくみられる症状です。
この記事では、難しい専門用語もできるだけかみくだいて、普段の診察室でお話しするような形で説明していきます。
研究の背景・目的
足底腱膜炎(Plantar fasciitis:足裏のかかとから指のつけ根まで伸びる膜状の組織に炎症が起きる状態)の治療で、「ホームエクササイズプログラム(Home Exercise Program:自宅で行うストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法、略してHEP)だけで十分なのか」、それとも「理学療法(Physical therapy:理学療法士などが行う運動療法や手技、物理療法など)を追加した方がよいのか」を調べた研究です。
特に、どの種類の理学療法をHEPに組み合わせると、痛みや日常生活の動きやすさがより良くなるのかを比べるために、「ネットワークメタ解析(Network meta-analysis:複数の治療法を同時に比較できる統計的な方法)」という手法を使って検証しています。
調査の方法(対象など)
足底腱膜炎の患者さんを対象とした「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT、治療法をくじ引きのようにランダムに分けて公平に比べる研究)」を集めてまとめました。
そのうえで、
・HEP(自宅での運動療法)のみ行った場合と、
・HEPに加えて「ドライニードル(Dry needling:トリガーポイントと呼ばれる筋肉のこりや痛みのポイントに細い針を刺して刺激する治療)」「低出力レーザー(Low-level laser therapy:弱いレーザー光を当てて痛みや炎症の軽減をねらう治療)」「徒手療法(Manual therapy:関節や筋肉を手で動かしたりほぐしたりする治療)」など、合計七種類の理学療法を追加した場合を比較しました。
研究の結果
まず「短期(Short term:治療開始からあまり時間がたっていない時期)」の痛みについては、HEPに「ドライニードル」「低出力レーザー」「徒手療法」を追加したグループで、痛みが「臨床的に有意(Clinical significance:実際の診療の場でも意味があると考えられる程度)」に減っていました。
また、短期の「機能(Function:歩く・立つ・階段の上り下りなど、日常生活での動きやすさ)」については、「ドライニードル」と「テーピング(Taping:足裏や足首にテープを貼って負担を減らす方法)」を追加したグループで改善がみられました。
さらに「中期(Mid term:短期より少し先の時期)」では、ドライニードルを追加したグループで、痛みと機能の両方にわたって効果が続いていることが示されました。
結論:今回の研究でわかったこと
この研究では、足底腱膜炎の治療として、HEP(自宅での運動療法)に「ドライニードル」を組み合わせると、痛みと機能の両方が比較的安定して良くなり、その効果が中期まで続いている可能性が高い、という結果が示されています。
あくまで研究データにもとづく傾向ですが、ドライニードルを追加した治療法が、他の選択肢と比べて有望であることがうかがえます。
実際の診察ではどう考えるか
実際の診察では、足底腱膜炎の方に対して、HEP(自宅でのストレッチや筋トレなど)だけで終わらせず、症状の強さや出ている期間、生活スタイルなどをふまえて、「ドライニードル」「徒手療法」「テーピング」などを組み合わせていく考え方が有用とされています。
どの治療をどのタイミングで取り入れるかは、患者さんごとの状態によって変わるため、主治医や理学療法士と相談しながら進めていくことが大切です。
参考文献
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Efficacy of Physical Therapy Interventions Delivered With Home Exercise Programs for Pain and Function in Plantar Fasciitis: A Systematic Review and Network Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42176209/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















