この記事の要点
- 日本語タイトル:慢性非特異的腰痛に体幹安定化と姿勢制御訓練はどちらが有効か?
- 英語タイトル:Core stability versus postural control training for pain, disability, and sensorimotor function in chronic non-specific low back pain.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来でよく話題になるテーマです。
専門的な内容ですが、できるだけ日常のことばで、イメージしやすいようにお伝えしていきます。
研究の背景・目的
「慢性非特異的腰痛」とは、3か月以上続く腰痛があるものの、骨折や椎間板ヘルニアなど、はっきりした原因が画像検査などで特定できない腰痛のことを指します。
このタイプの腰痛では、痛みだけでなく、ふらつきや転びやすさなどの「バランスの低下」、自分の体が今どの位置にあるかを感じ取る力(固有感覚:こゆうかんかく/自分の関節や筋肉の位置や動きを感じる感覚)の障害など、「センサー運動機能(センサーモーター機能:体の感覚情報と筋肉の動きを協調させる働き)」の問題が、診察の場でよく問題になります。
この研究では、こうした感覚やバランスの問題もふくめて、どのようなリハビリが役に立つのかを調べることを目的としています。
調査の方法(対象など)
この研究では、慢性非特異的腰痛をもつ中年の女性を対象としました。
「体幹安定化訓練(コアスタビリティトレーニング:お腹や背中まわりの筋肉を鍛えて、体の中心を安定させる運動)」を行うグループと、「姿勢制御訓練(ポスチュラルコントロールトレーニング:立つ・座る・動くときの姿勢やバランスを保つ練習)」を行うグループ、そして通常どおりの治療のみを受けるグループ(通常ケア・コントロール群)を比べました。
それぞれのグループで、腰の痛み、日常生活での動きにくさ(機能障害)、固有感覚(自分の腰や骨盤の位置を感じる力)、バランス、生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ/生活の満足度や快適さ)にどのような変化があるかを調べました。
研究の結果
体幹安定化訓練を行ったグループと、姿勢制御訓練を行ったグループのどちらでも、腰の痛みと日常生活での動きにくさを示すスコアが、通常ケアだけのグループよりも統計学的に意味のある範囲で改善していました。
さらに、姿勢制御訓練を行ったグループでは、腰や骨盤まわりの固有感覚(自分の腰や骨盤の位置を感じ取る力)も良くなっていました。
このことから、体の感覚と動きを一緒にトレーニングするようなリハビリの方法が、慢性非特異的腰痛に対して役立つ可能性があると考えられます。
結論:今回の研究でわかったこと
慢性非特異的腰痛のある中年女性では、体幹安定化訓練と姿勢制御訓練のどちらも、腰の痛みや日常生活での動きにくさを軽くする効果がみられました。
そのうえで、姿勢制御訓練は、腰や骨盤の固有感覚(自分の体の位置を感じる力)も良くする可能性があると考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
慢性非特異的腰痛のリハビリを考えるときには、お腹や背中の筋肉を鍛える体幹トレーニングだけにしぼるのではなく、姿勢制御訓練も組み合わせることが一つの選択肢になります。
そうすることで、痛みや日常生活のしづらさだけでなく、固有感覚やバランスといった部分も同時にねらう、多面的なリハビリの進め方を検討できると考えられます。
参考文献
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Core stability versus postural control training for pain, disability, and sensorimotor function in chronic non-specific low back pain.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42252301/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















