この記事の要点
- 日本語タイトル:TOPAZは腱障害に対し手術やリハビリより優れるか?
- 英語タイトル:Efficacy of radiofrequency microdebridement (TOPAZ) in tendinopathy: a systematic review and meta-analysis of randomised clinical trials.
ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来で、実際によく問題になるテーマです。
専門的な医学用語も出てきますが、できるだけかみくだいて、日常会話に近い形で説明していきます。
研究の背景・目的
腱障害(けんしょうがい:筋肉と骨をつなぐ「腱」に炎症や傷みが続く状態)の中でも、なかなか良くならない難治例では、従来は腱を部分的に切り離す手術などが選択肢になってきました。
近年、TOPAZ(トパーズ)と呼ばれる治療法が使われることがあります。TOPAZは「radiofrequency microdebridement(ラジオフリークエンシー・マイクロデブリードメント、高周波マイクロデブリードメント)」という方法で、高周波(ラジオ波)という電気エネルギーを使って、腱の傷んだ部分に細かい穴をあけるように処置し、腱の回復をうながすことをねらった治療です。
ただし、このTOPAZが、従来の手術やリハビリテーション(理学療法:運動療法やストレッチ、物理療法など)と比べて本当に優れているのかどうかは、「ランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT、治療法をくじ引きのように分けて公平に比べる研究)」でははっきりしていませんでした。
そこで、この研究では、TOPAZが従来の治療よりも痛みや機能の面で優れているのかどうかを、RCTの結果をまとめて調べることを目的としました。
調査の方法(対象など)
この研究では、体のどの部位であっても「腱障害」と診断されたケースを対象に、TOPAZを使ったランダム化比較試験(RCT)だけを集めました。最終的に9本のRCTが選ばれました。
比較の相手としては、腱を部分的に切り離すような手術的リリース、リハビリテーション(理学療法)、そして手術単独(手術だけ行う場合)などが含まれています。
評価項目としては、まず痛みの強さを「VAS(Visual Analogue Scale:ビジュアル・アナログ・スケール)」という方法で測りました。これは、0を「まったく痛くない」、10を「これ以上ないほど痛い」として、自分の痛みを0〜10の間で数字で表してもらう評価法です。
さらに、腱の働き(機能)がどのくらい改善したか、治療に伴う合併症(治療によって起こる好ましくない出来事)がどの程度あったかも調べました。これらを、治療後の短期から長期にわたって評価しています。
研究の結果
まず、TOPAZと従来の手術を比べたところ、痛みの強さを表すVASの数値に、はっきりした差は見られませんでした。つまり、痛みの改善という点では、TOPAZと手術は同じくらいの効果である可能性が示されました。
一方で、アキレス腱(ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ太い腱)の腱障害については、TOPAZを行った場合、リハビリテーション(理学療法)だけの場合と比べて、長期的にはVASで約3.5ポイントほど痛みがよくなっていた、という結果が出ています。
ただし、このアキレス腱に関する結果は、1本のRCTだけに基づくもので、研究としての確実性は高くありません。
また、手術にTOPAZを追加した場合に、手術だけの場合と比べてどれくらい上乗せの効果があるのかについては、この研究からははっきりした結論は出ていません。
結論:今回の研究でわかったこと
今回まとめられた研究結果からは、TOPAZは痛みの改善という点で、従来の手術と同じくらいの効果を示している可能性があります。
また、アキレス腱の腱障害に限ってみると、リハビリテーション(理学療法)だけの場合よりも、長い目で見たときに痛みを少し良くする可能性が示されています。
ただし、特にアキレス腱での結果は、限られた研究に基づいているため、今後の追加研究で確認が必要な段階と考えられます。
実際の診察ではどう考えるか
実際の診察の場では、TOPAZは、従来の手術と同じくらいの痛みの改善が期待できる「低侵襲(ていしんしゅう:体への負担が比較的小さい)」な治療の候補の一つとして考えられます。
一方で、アキレス腱以外の腱障害でTOPAZがどれくらい優れているのか、どのくらい長い期間にわたって効果が続くのか、そして費用に見合う効果があるのか(費用対効果)については、まだ情報が十分とはいえず、慎重に検討する必要があります。
そのため、実際に治療を選ぶときには、症状の程度やこれまでの治療歴、生活スタイルなどをふまえて、主治医とよく相談しながら決めていくことが大切です。
参考文献
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Efficacy of radiofrequency microdebridement (TOPAZ) in tendinopathy: a systematic review and meta-analysis of randomised clinical trials.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41918131/
※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。



















