若年活動性半月板欠損にMATは有効か?

この記事の要点

  • 日本語タイトル:若年活動性半月板欠損にMATは有効か?
  • 英語タイトル:Meniscal Transplantation-Update on Indications, Techniques, and Outcomes.

ここで取り上げる内容は、リハビリテーションや整形外科の外来で、比較的よく問題になるテーマです。
専門的な話も出てきますが、「半月板(はんげつばん:Meniscus/膝の中でクッションの役割をする軟骨組織)」や「MAT(Meniscal Allograft Transplantation:メニスクス・アログラフト・トランスプランテーション/他人の半月板を移植する手術)」などの言葉を、できるだけかみくだいてお話ししていきます。

目次

研究の背景・目的

膝の中には、太ももの骨とすねの骨の間に「半月板(Meniscus)」という軟骨のクッションがあります。
スポーツやけがなどで半月板を大きく傷めてしまうと、「半月板広範囲切除」といって、半月板をかなりの範囲で取り除かざるをえないことがあります。
とくに若い方で、半月板を広く切除したあとに、膝の痛みや引っかかりなどの症状が続く状態を「若年症候性半月板欠損」と呼びます。
このような場合、できるだけ人工関節などには進まず、自分の膝の関節を長く保つ「関節温存」の方法として、MAT(Meniscal Allograft Transplantation:他人の半月板を移植する手術)が注目されています。
この研究では、若い人で活動量が多く、半月板が大きく欠けて症状が出ている膝に対して、MATがどの程度役に立つのかを整理することが目的とされています。

調査の方法(対象など)

この論文は、若年〜中年の方で、半月板が欠けていて膝に症状が出ている「症候性半月板欠損膝」を対象にした研究を集めてまとめた「レビュー論文」です。
ここでいう「レビュー」とは、すでに発表されている複数の医学論文を集めて整理し、全体としてどのような傾向があるかをまとめたものを指します。
このレビューでは、MAT(他人の半月板を移植する手術)について、
・どのような患者さんに向いているか(適応)
・どのような手術方法があるか(術式)
・どのような合併症(手術に伴うトラブル)が起こりうるか
・長い期間で見たときの成績(長期成績)
といった点を整理しています。

研究の結果

まとめられた研究では、MAT(他人の半月板を移植する手術)を受けたあと、多くの方で膝の痛みが軽くなり、日常生活やスポーツなどの機能が良くなる傾向が報告されています。
また、「10年生存率 約70〜80%」という数字が示されていますが、ここでいう「生存率」とは、移植した半月板が10年後も大きな再手術を受けずに残っている割合を意味します。
一方で、再手術が必要になる割合が20〜30%程度あることも報告されています。再手術には、移植した半月板の部分的な修正や、別の手術が含まれます。
さらに、MATに「軟骨保護効果(関節の軟骨がすり減るのをどの程度防げるか)」がどれくらいあるのかについては、はっきりしない部分が残っているとされています。

結論:今回の研究でわかったこと

このレビューからは、MAT(他人の半月板を移植する手術)は、若くて活動量が多く、半月板が欠けて症状が出ている膝に対して、痛みや膝の機能を良くする可能性があるとまとめられています。
一方で、再手術が20〜30%程度の割合で必要になることや、関節の軟骨を長期的に守る効果(軟骨保護効果)がどの程度あるかは、まだはっきりしないという点にも注意が必要とされています。
そのため、MATは有力な選択肢ではあるものの、こうした点をふまえて慎重に判断する必要があると結論づけられています。

実際の診察ではどう考えるか

実際の外来診察では、MAT(他人の半月板を移植する手術)は、若くて活動的で、半月板が大きく欠けているために膝の痛みなどが続いている方にとって、関節をできるだけ温存するうえで有力な選択肢のひとつと考えられます。
ただし、
・どのような状態の方に向いている手術か(適応)
・再手術が20〜30%程度の割合で必要になる可能性があること
・長い目で見たときに、関節の軟骨をどの程度守れるか(長期的な軟骨保護効果)がまだはっきりしないこと
といった点を、事前にしっかりお伝えし、患者さんと一緒に相談しながら治療方針を決めていくことが大切と考えられます。


参考文献


※この記事は、医学論文の内容を一般向けに解説したものです。診断や治療の最終判断は、必ず主治医とご相談ください。

この記事の執筆者プロフィール


Yoリハビリ整形外科かわな
院長 佐藤洋一

Yoichi Sato M.D.

医師・AIエンジニア


専門医・認定医・資格

  • 日本整形外科学会認定 専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定 専門医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 身体障害者手帳指定医(肢体不自由)
  • 難病指定医(協力難病指定医)
  • 義肢装具等適合判定医

所属学会

  • 日本整形外科学会
  • 日本リハビリテーション医学会
  • 日本義肢装具学会
  • 日本骨粗鬆症学会
  • 日本整形外傷学会

修了

  • 日本骨折治療学会研修会 Basic, Advance
  • AO Trauma Course Basic, Advance, Pelvic & Acetabular
  • 義肢装具等判定医師研修会
  • 生活期のリハビリ医療に関わる医師の研修会
  • ボトックス講習・実技セミナー(上肢痙縮・下肢痙縮)

受賞歴

  • 日本リハビリテーション医学会 Reviewer Award
  • 日本骨粗鬆症学会 研究奨励賞
  • 日本骨粗鬆症学会 優秀演題賞
  • 日本骨折治療学会 優秀論文賞
  • 中部整形外科災害外科学会 学会奨励賞
  • 日本腰痛学会 優秀論文賞
  • 東海骨・関節疾患研究会 ベストレポート賞(2度)

趣味

  • キックボクシング(アマ2戦2勝1TKO)
  • コーディング(Python, Java, html, CSS)
  • 水泳、テニス、ヨット

Yoリハビリ整形外科かわな

名古屋市昭和区|八事西エリアのリハビリ整形外科

  • かわな いりなか 八事エリア
  • 昭和区 瑞穂区 千種区 天白区

でのお身体のご相談は当院へ。

健康寿命・社会寿命を
最大限に延伸する

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次